若きメンバーの個性が光るも、決勝進出ならず/関東大学Jr選手権準決勝 明大戦
大詰めを迎えている関東大学ジュニア選手権。予選リーグを3位で通過した慶大は準決勝に進出した。相手は、予選2位の明大。前回対戦では敗北を喫し、雪辱を果たしたい相手だ。試合は両チーム共にディフェンスが機能し、締まった展開に。一進一退の攻防が続いたが、最後は個人の突破力で勝る明大が決勝トライを決め、試合終了。惜しくも決勝進出とはならず、慶大の関東大学ジュニア選手権の戦いは幕を閉じた。
関東大学Jr.選手権 vs 明大
2015/11/28(日)12:00K.O.@明治大学八幡山グラウンド
得点
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慶大
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明大
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前半
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後半
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前半
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後半
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0
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2
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T
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1
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3
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0
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2
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G
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0
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2
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1
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0
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PG
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0
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0
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0
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0
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DG
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0
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0
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3
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14
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小計
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5
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19
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17
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合計
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24
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得点者(慶大のみ)
T=松村、松岡
G=古田2
PG=佐野
メンバー
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ポジション
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先発メンバー
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交代選手
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1.PR
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細田 隼都(商2・慶應)
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→17長尾 昂(環3・茗渓学園)
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2.HO
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松岡 大介(環3・小倉)
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3.PR
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大塚 健太(環4・國學院久我山)
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→18出口 桂(商4・明善)
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4.LO
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辻 雄康(文1・慶應)
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5.LO
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吉田 雄大(総2・秋田)
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6.FL
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岩本 龍人(政4・國學院久我山)
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7.FL
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永末 千加良(法2・慶應)
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8.No8
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松村 凛太郎(商2・慶應)
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9.SH
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中鉢 敦(経3・慶應)
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→21江嵜 真悟(商1・小倉)
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10.SO
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古田 京(医1・慶應)
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11.WTB
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吉迫 雅俊(商3・慶應志木)
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12.CTB
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染原 健人(理3・修猷館)
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→22今泉 宏健(総2・清真学園)
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13.CTB
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古橋 純(理4・千種)
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14.WTB
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佐野 航太(政4・慶應)
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15.FB
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楠本 遼(経3・慶應)
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→23小原 錫満(総1・東海大仰星)
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慶大のキックオフでスタートした。確実に陣地を得たい両チーム。しばらくはキックの応酬が続いた。最初に仕掛けたのは、FB楠本。軽快なステップで相手を抜き去ろうとするが、出足の早いディフェンスで止められてしまう。対する明大も大柄なBK陣で突破を図るが、慶大の組織的な守備が食い止める。互いにディフェンスが機能した序盤は、膠着状態が続いた。そんな中、先に好機を得たのは慶大。FW陣を中心とした連続攻撃で相手陣内へと侵入すると、ゴール手前でペナルティを得る。PGを選択すればほぼ確実に3点を得られる場面であったが、「前3人(フロントロー)はいけると言っていた」(岩本)と慶大はスクラムを選択する。その言葉通り、スクラムは圧倒しグラウディングは間近かと思われた。だがあと一歩のところでトライを奪えない。その後もFWのアタックで何度もフェーズを重ねるが、明大も次第に対応し始める。慶大は、近場での肉弾戦を諦め、外へと展開する。しかし、その途中で痛恨のスローフォワード。チャンスを得点に結び付けることが出来ず、流れは急変する。前半24分、それまで止めていた明大BK陣の突破を許し、トライを献上してしまう。追う立場となった慶大は、34分にSO古田がPGを狙うが、失敗に終わる。重苦しい雰囲気が漂う中、WTB佐野の一蹴りがそれを振り払う。39分、センターライン手前からの長いPGを見事に決め、この試合チーム初得点を奪う。スコアを3-5とし、前半を終了する。
後半2分、慶大は相手のキックがデットボールラインを越えたことから、敵陣22mライン付近でマイボールスクラムの権利を得る。ボールを素早く出すと、前半同様FWの激しい攻めでゲインを狙う。最後はNo8松村が抜け出し、グラウディング。遂にこの試合初のトライに成功する。古田のコンバージョンも決まり、スコアを10-5とした。しかし7分、明大CTBの個人技を止めることが出来ず、トライを決められてしまい、7点を失う。さらに25分、幾度もフェーズを重ねる明大FWの猛攻に力負けし、またもトライを許してしまう。反撃に出たい慶大だが、個々の能力では勝る明大に主導権を握られる。自陣深くに押し込まれ、攻撃の糸口を見いだせない時間帯が続いた。流れが変わったのは31分。相手のペナルティをきっかけに陣地を得ると、22mライン付近でモールを組む。慶大ボールのモールはぐんぐんと前進し、最後はHO松岡がグラウディング。FWの驚異的なパワーで試合を振り出しに戻す。一進一退の攻防が続くシーソーゲーム。ピッチには緊張感が漂った。焦る明大はオフサイドの反則を繰り返し、FWの一人がシンビンを宣告される。空いたスペースを狙い、LO辻やCTB今泉のランプレーで突破を図るが、得点には至らない。互いに決め手を欠く中、43分のことだった。明大BKが快足を生かして抜け出すと、必死に食い止める慶大ディフェンスを振り切り、右隅にトライ。その後のコンバージョンが決まったところで、試合終了を告げる笛が鳴り響いた。またも明大相手に惜敗を喫し、決勝進出の夢は断たれた。
惜しくも準決勝敗退となってしまった慶大だが、ジュニア選手権の戦いぶりは見事だった。中でも光ったのは組織的なディフェンスだ。この試合でも見せたように、個々の体格やスキルで上回る相手に対し、規律あるダブルタックルやレッグタックルで対抗した。強力な「個」に対し、チーム全員の総力で立ち向かう姿は慶大らしさを体現していた。アタック面では、1年生SO古田を中心にキックを多用する堅実な攻めが光った。課題は、「結構球を落としてしまった」(松村)と振り返るように、この試合でも見られたイージーミスを減らしていくことだ。能力のある選手が揃うだけに、この点を修正出来れば更なる得点力が期待出来る。ジュニア選手権に出場したメンバーは、「対抗戦のリザーブだとか、Aチームに入れなかったメンバー」(岩本)で構成されている。ジュニア選手権の戦いは幕を閉じてしまったものの、選手達の戦いはまだ終わらない。来月6日に行われる青学大との対抗戦、そしてその対戦に勝利すれば大学選手権も控えている。ジュニア選手権を戦い抜いた選手達が、大舞台でどのような働きを見せるのだろうか。今後の躍動に注目だ。
【ケイスポ的MOM】チーム束ねた情熱家 FL岩本
この試合ゲームキャプテンを務めた岩本。ジュニア選手権では、下級生が揃う若いチームを率いてきた。この日も果敢なボールキャリーやタックルなど、屈強なフィジカルを生かしたプレーで味方を鼓舞。勝利こそならなかったものの、80分通して体を張り続けた。試合後には、「本当にこのチームで優勝したかった。後輩達に優勝目指して頑張ってほしい」と語った。岩本がこの大会を通して見せた、情熱溢れるプレーを目に焼き付けた後輩選手は多いはずだ。
(記事・小沢光市)
コメント
岩本龍人
(今日の試合を振り返って)悔しいですね。前半、チャンスでトライを取りきれなくて、それが後の展開を苦しくしてしまったと思います。(前半、ペナルティを得た場面ではゲームキャプテンとしてスクラムを選択した)スクラムかラインアウトで迷ったんですけど、前の3人がいけるということで、スクラムを選択しました。(スクラムは押せたがトライは取りきれなかった)悪いスクラムではなかったんですけど、明大も強くて、あと一歩のところで圧力に負けてしまったということです。前3人は頑張ってくれたと思います。(ご自身のプレーは)タックルやボールキャリーはまずまず出来たと思いますが、もっとブレイクダウンのところでボールに絡んだりだとか、そういった面で貢献したかったです。(明大の印象は)相手はスピードのある選手が多くて、圧力を感じていたんですけど、15人全員で粘り強くディフェンス出来たと思います。締まった展開にはなりましたが、最後の最後でラインブレイクされて、トライされてしまったので、ここはチーム全体で修正したいと思います。(ジュニア選手権を振り返って)ジュニア選手権のメンバーは、対抗戦のリザーブだとか、Aチームに入れなかったりだとか、そういったメンバーで構成されていて。本当にこのチームで優勝したいという気持ちがあったので、すごく悔しいんですけど、皆のおかげで熱い気持ちで試合が出来たので、皆に感謝したいというのと、2年連続で準決勝で負けてしまったので来年は後輩達に優勝を目指して頑張ってもらいたいです。(今後に向けて)ラストシーズンということで、チームに貢献したいという気持ちで臨んでいるんですけど、なかなか貢献し切れていないので、残りの試合は自分がチームの勝利に貢献出来るように頑張っていきたいです。
松村凜太郎
(今日の試合までの準備は)この前ジュニアが明大に負けて、対抗戦も明大に負けていました。僕はどちらにも出ていなかったのですが、僕が入って先輩や後輩の分まで頑張ろうということでこの試合に臨みました。(相手のフィジカルが強そうでしたが、当たってみて)見た目すごく大きいですよね。「フィジカル強そうだな」と思ったのですが、試合に入ってみるとそこまで差は感じませんでした。慶大の特徴である、ディフェンスの出足さえうまくいけば、フィジカルの差は埋められると思いました。(敵陣深くでFW戦にこだわっていたように見えた)はい、そうですね。前半の最初も敵陣に張り付いて、FWでしつこく攻めていったのですが、BKとの連携がうまくいきませんでした。後半は連携の問題ではなく、僕も含めてですが、FWが結構ぽろぽろ球を落としてしまいました。その部分の詰めが甘かったです。(バックローにけが人が増えている。松村選手への期待も)対抗戦の最初の筑波戦・日体戦は起用してもらったのですが、そこからけがやポジション争いで試合に出ることができなかったです。先輩が試合に出られないのは本当に残念ですが、今僕にできるのは、その穴を埋めて、むしろ僕が出ることによってチームに良い影響をもたらすことだと思います。出られない先輩の分まで積極的に戦って、次の試合に臨みたいです。
古田 京
(今日の試合を振り返って)もう1試合、4年生方と試合したかったという気持ちが大きかったです。(今日のゲームメイクは)あまりいいメイクではなかったかなと思います。(ハイパントの場面が多かったが)精度はまあまあ良かったです。だんだんと成長はしていると思います。(ハイパントを多用した意図は)今まで使ってきたハイパントと同じようにエリアをしっかりとっていこうという意図と、染原さんといういいキャッチャーがいるのでその人に合わせようという意図です。(前回に続く明大に対する敗北だが、この差を埋めていくためには)僕自身は勝ち切ることを勉強しなればならないなと思いました。いい勝負はできても勝たなければ意味がないので、そこはこれから時間があるので勉強していなかなければならない点であると思います。(ジュニア選手権はこの試合で最後となったが、来シーズンに向けて)来年はなるべく対抗戦に出られるようにしたいです。そして、どのチームでも勝ち切るということを意識したいです。この間の早慶戦でもそうですけれどもチームが勝ち切るということにこだわってやっていきたいと思います。